男鹿半島と五能線 日本海をたどる秘湯旅 
2016年2月
戸塚 寛
JA1PYP
クラブツーリズムから、お得な飛行機旅の案内が送られてきました。その中に世界遺産である白神山地の入り口も多少入っている乳頭温泉、不老不死温泉の旅があり申し込みました。旅行中に聞いた話ですが男鹿半島の「なまはげ」はこれから世界文化遺産の申請をするとのことです。

羽田集合は10時半、9時に家を出たところ仲間から「今、羽田に着きました。これから集合場所の時計台に向かいます」等のメールが続々来て焦りましたが 10時20に無事到着。ちょうど今回のツアー代表者の榎本さんが添乗員の染田さんから説明を受けていました。それによると「雪で秋田からの到着便が遅れて 11時20発が11時50分発に変更、秋田空港は除雪中、場合によっては仙台空港か羽田空港戻りの条件付き」とのことでした。

今回のツアーでは秋田空港についてすぐバスに乗るため初日のお昼はお弁当を車内で食べます。ツアーに申し込んでも良いし、自分たちで用意しても良い。私た ちは自分たちで用意することにしました。ということで、この条件つきツアーの心配をしてもしょうがないので空弁の購入です。皆さんには情報としてお伝えしておきますが、ツアーのお 弁当は①特製牛めし950円②あきたこまち弁当(鮭塩焼き、玉子焼き、エビフライ、ハタハタ唐揚げ、しゅうまいととんぶり添え、肉団子煮物、漬物) 1000円でした。

私の空弁はいつも肉の万世のヒレカツサンドなのですが、ロースかつの「万かつサンド」しか置いてなかったので、「焼きサバ弁当(押寿司)」と、まい泉のヒレカツサンド、アナゴ寿司の3個を購入して3人でシェアすることにしました。

今回のツアー参加者は25名です。ゆえにバスの中も楽(ラク)そうです。
添乗員さんの予想通りに、JAL163便(ボーイング737-800)は30分遅れて11時50分に離陸しました。ここで新しい発見を一言。機内販売用の小冊子に飛行 の地図が載っています。左手に男体山が見えましたのでルート通りに宇都宮市の上空を通過したのですが、しばらくして太平洋の海岸線が見えました。帰りに窓 際に座った青木さんも海が見えたと言っていました。実際の飛行ルートはかなり違うようです。それだけです。

しばらくすると「機長の三木です。秋田空港は吹雪で除雪が遅れています・・・・・・」更に1時間以上秋田空港手前の上空で待機した頃、「ランディングを試 みますがダメな場合は羽田に引き返します」のアナウンス。結局、ハバロフスクまで飛行出来そうなほどの燃料を消費して着陸。ドスンと衝撃つきの着陸でした が、とたんに機内で拍手が沸き起こりました。身の安全なのか旅行が継続出来るとの期待だったのでしょうか(もちろん私は継続出来る方です)。ようやく着陸 しても、さらに 駐機場の除雪との理由で30分ほど待たされ行程表にあった12時半発の観光バスは15時10分に出発です。

秋田空港駐機、殆ど積雪は無い。除雪のおかげというより元々雪はそんなになかったような。

当然今日の予定の乳頭温泉郷はキャンセルとなり(後述の通り、実際には30分のみですが乳頭温泉体験が出来ました)、16時半頃に直接、宿泊先の「プラザホテル山麓荘」に到着しますとのこと。

我々は遅い昼食を持参のお酒を飲みながら頂きました。

青木さんが染田さんに羽田に戻ったり、仙台に降りたらどうする積もりだったのかと聞いたのですが、羽田の場合には次の(可能な)フライトで秋田まで行く、 仙台に降りた場合には(秋田から仙台までバスを回送するには時間がかかりすぎるので)仙台から秋田まで参加者が自費で列車で行ってもらうのだそうです。時間が短くなった分だけツアーの予定を省くんですね。

この乳頭温泉ですが、読者の皆さん、良くご存知のように有名なのは「鶴の湯」です。
詳細は拙著「番外居酒屋乳頭温泉編」を参照頂くとして
http://www.geocities.jp/fortylovejp/thrush/0808nyuto.htm

乳頭温泉は下記の7施設あります。
①江戸時代より続く秘湯の宿 鶴の湯
②渓流に佇むモダンジャパニーズ 妙乃湯
③源泉沸き立つ湯治の里 黒湯温泉
④深山の宿・離れの露天風呂 蟹場温泉
⑤守り抜く湯宿・山の薬湯 孫六温泉
⑥懐かしき木造校舎 大釜温泉
⑦美しいブナ林・近代施設 休暇村乳頭温泉郷

今回のパンフレットには乳頭温泉郷としか記載されていませんでした。もし鶴の湯だったら、それだけで参加者は増えるはずなので明記するはず。ゆえに鶴の湯 ではないなと感じていました。しかし、ほかに団体を受け入れるところは休暇村ぐらいしかないから密かに期待はしていました。

実際の予定は「大釜温泉」でした。ここは日帰り入浴が16時までということで間に合わず中止になったのですが、休暇村が17時まで延長してくれる、雪がす くないのでホテルでチューンをつけるのを省く、トイレ休憩も省く、ということを条件に添乗員さんが尽力してくれ晴れて我々は乳頭温泉で入浴できることにな りました。(染田さんはこの調整で頭がいっぱいなので青木さんの質問を上の空で聞いていたのでした)入浴は正味30分でしたが満足できました。内風呂は透 明でしたが露天は白濁していてよかった。ここで、明記しておきますが、16時というのは実際の施設の開店時間ではないですよ。泊り客の為に日帰り入浴のお 客の制限時間です。念のため。

私たちの宿泊するプラザホテル山麓荘の名物は酵素風呂、おがくずの砂風呂です。1年前に家族が隣の駒ヶ岳グランドホテルに泊まったのですが山麓荘の酵素風 呂を覚えていました。何故でしょう、女性専用のパック旅行で酵素風呂が半額になる割引券があり、わざわざプラザホテル山麓荘まで入りに行ったそうです。

夕食はきりたんぽ鍋をはじめとして加熱料理が3個あったような気がします。例によって官費からビールを注文させて頂きました。 部屋では持参のお燗器が活躍したのは言うまでもありません。


20時からホテル内で津軽三味線と民謡のショーがありました。私の耳が悪くて音程がくるっているように聞こえました。残念です。



朝食です。なぜかステンレスの水筒が置いてあります。

二日目です。我々3人は何故か、朝は一番風呂に律儀に行くのですが、その順番はいつも決まっています。榎本さん、私、青木さんです。朝、目が覚めると榎本 さんが居ないのでお風呂に行くと榎本さんが一人か、居てもお客さんがあと一人。私が出るころ青木さんが入ってくる感じです。
朝食は普通のバイキングでした。本日は移動距離が長いので8時の出発です。フロントでの精算時間が必要だったのをうっかり忘れて皆さんに数分のご迷惑を掛けてしまいました。

角館から国道105号線を経由して秋田自動車道に入ります。この105号線は今回の旅行で合計4回通ることになります。能代市で高速道路を下りて日本海沿いの国道101号に入りました。冬の日本海の荒波が素晴らしい。波の花も浮いていました。


途中でガイドさんから白神山地の説明があり、登山口も見えました。黄金崎の不老不死温泉にやっと到着。波が荒いと潮が被って露天風呂には入れないと脅かさ れていましたが、風が強くて寒いが何とか入れるようです。初めにツアー用に1室用意してあり昼食を頂きました。深浦マグロステーキ丼です。これは地元深浦 のご当地グルメで7か所でしか食べられません。マグロのお刺身と生でも食べられるマグロの串焼きが2本付いていました。ジンギスカン鍋で焼くのですが「金 串から外してから焼け」の指示がありました。たれが3種ついています。私は焼きすぎたようですが、焼き肉のたれにつけるにはマグロはレアでは美味しくな い。わかりますよね。刺身醤油で食べた、お刺身が一番美味しかった。


さてお風呂です。この部屋を着替え室として使えるようでした。我々は全員露天風呂希望なので200円の浴衣を借りました。フロントで貴重品も預かってくれます。
内湯に入ってから露天風呂がお勧めでしたが先に露天に向うことにしました。露天の入り口にある大浴場の脱衣所で浴衣に着替え、外に出て葦簀でおおわれてい る海岸のお風呂まで約50mを歩きます。風が強く浴衣の前を押さえながらの歩行です。向かって左が、男湯(混浴)、右が女湯になっていて間の石垣側面が各 々脱衣棚になっています。籠を持って着なかったので浴衣が飛ぶため棚に浴衣と帯を括りつけました。
湯船には同じツアーの5、6人しかいませんでした。ハイシーズン時の情報では「芋を洗う」状態のようです。湯船からの日本海は良かった。天気も時々日が差 していました。浸かっているときは快適でしたが、問題はいつ出るかです。なにしろ上がると寒い。早めに出て大浴場、内湯とすべて楽しみました。ロビー近く の内湯への廊下には両サイドにタレントの色紙が数十枚貼られていました。

不老不死温泉の外湯

さて、次は五能線の旅です。
ウェスパ椿山駅までバスで行き、13時53分発の東能代方面、上り列車に乗ります。時間があるので駅前にある白神ガラス工房の見学です。建屋と設備を県が 作り運営は民間で行っているようです。皆さん、添乗員さんから13時50分にはホームに立っているように釘を刺されていたので、吹雪の中、駅前に並んで写 真を撮っています。
ディーゼル車2両編成の五能線が到着、ガラガラです。2両なのは我々の乗車情報が漏れたのかな?


皆、日本海側の座席に座りニコニコです。写真タイムですが、我々のグループは宴会タイムです。バスの中と比べて列車の中の宴会は快適です。五能線車窓より の日本海の荒波を思う存分楽しみました。行きのバス内でガイドさんより説明を受けたが撮りそこなった、江戸時代に抜け荷船を監視するための船を隠した洞窟 がある汐ケ島も撮りました。また、12湖を始めとする白神山地関連地域の周辺の匂いが少し分かったような気がします。


列車を下りたのは「あきた白神駅」で、バスが先回りで待っていました。しかし、バスが遅れることも見越してここはお土産屋の時間調整場所になっていました。


ここから、本日の宿泊場所である男鹿温泉郷に向かいます。途中で大潟村の歴史について
ガイドさんから説明を受けましたが、オランダの干拓技術を導入して昭和29年ごろから計画されていたようです。説明を聞いていたら数か月前にBS3チャン ネルで見た、「関口知宏のオランダ10日間列車の旅」を思い出しました。オランダの干拓規模が凄かった。我々の子供の時の社会科ではここは八郎潟でしたか らね。泊まったのは時計のような名前の「セイコーグランドホテル」です。

早く着いたので、お風呂に入る前に付近を散策です。
ここでちょっと話は変るのですが、この男鹿温泉郷では4月中旬から11月中旬まで催行として「五風ナマハゲ太鼓ライブ」があるがシーズンオフの今は土日、 祭日しかやっていない、しかし特別に本日だけはやってくれる、価格は540円である、場所は協同組合に併設されている男鹿温泉交流会館「五風」であるとの こと。後で聞いた話では同じ「クラブツーリズム」の名古屋からの5泊6日の高額ツアーのオプションに我々が便乗したらしい。
散策とは、この「五風」の場所確認と酒屋でお酒を買ってくるのが目的です。組合の前にある「伊藤酒店」で秋田の高級地酒を一升買いました。気になったのは 店主のおばさんが、日本を代表する蔵元の箱入り酒を「それは料理酒です」と言ったことです。そうです。私は毎日料理酒を飲んでいます。後でこの高級地酒に 価格が貼っていなかったことに気が付き、「青木さんボラレタ?」の声。本人はスマホで調べていました。「消費税込み定価」に近かったようです。

本日の夕食は「石焼き桶鍋」です。焼き石の投入料理は多いですが、ここは鍋に立派な桶を使用しています。メインイベントは石を何回も入れて温度が上がり、最後の一個で沸騰する瞬間です。
食事の途中での写真タイムは呑み屋にとってはあまり面白くありません。(私見です)桶鍋を仕切っているおじさんはこのホテルの方ではなく、隣の「男鹿観光 ホテル」の支配人だったようです。翌朝、添乗員さんが、バスの中で「二つのホテルの支配人に同時に見送られたのは初めてだ」と言っていました。


夕食後、滑る道路に苦労しながら、組合まで、「ナマハゲ太鼓ライブ」を見に行きました。女性1名、男性3名よりなるチームです。女性はなかなかの美形で実際は似ていないのですがしゃべり方も含めて「貫地谷しほり」さんを太めにした雰囲気でした。
これは全くの私見です。http://www.oganavi.com/fureai/
最初のクールは男性3名がなまはげの衣装で演奏。次は通常の衣装での演奏です。男性もみなハンサムでした。演奏そのものは迫力があり上手でした。


三日目の最初は「真山神社」です。雪が少し降っていました。ここで今回もまた「御朱印帳」を忘れたことに気が付きました。杉の大木を削った丸木舟が印象に残りました。耐久性抜群の船でした。


次はバスに乗って数分の男鹿真山伝承館です。古い民家を移築した劇場と言えます。大晦日のなまはげイベントを観光客用に再現してくれます。真山地区特有の しきたり(お面に角がないとか、四股を踏む、隠れた子供を探す等)の説明が面白かった。圧巻はナマハゲ登場時の「びっくりポン」です。観光客の後面の障子 が揺れたのは意外でした。皆さん素人なのかな?なまはげ役の方の濁声(ダミゴエ)は凄かった。声優としてもやっていけます。


次は隣の「なまはげ館」までは歩いていきます。こちらは完全に博物資料館です。30分毎にビデオ上映がありました。地区ごとの衣装展示が有りましたが100地区もあるそうです。先ほどの真山地区はその一つです。
同じツアーの女性客がなまはげの衣装を借りて写真を撮っていました。学芸員さんの話ですと、女性がこの衣装を着られるのはこの資料館だけだそうです。



なまはげ館を出発したのは10時40分で、ここでは雪が降っていて、なまはげ館からバスまではバスの傘を差しました。ここから昼食場所の入道崎まではすぐです。
11時なのでまだ、お腹が空いていません。灯台傍の「なまはげ御殿ニュー畠兼」で食べた昼食は「ハタハタ焼き定食」でした。ハタハタより烏賊そうめんが美 味しかった。昼食後は付近を散策しましたが運のよいことに先ほどの雪はやんで、きれいに晴れていました。時間と言うより、バスで20分ほどの距離なので地 形のせいかもしれません。


ここは北緯40度だそうで記念モニュメントにお金が掛かっていました。付近に水中観光船の船着き場もありましたが冬は休みのようでした。



最後の観光地は角館です。4回通ると言った国道105号線の3回目です。
角館の観光地図を添乗員さんから受け取り、オプション見学場所である青柳家まで随行してもらい、後は自由散策です。我々は青柳家には行きませんでした。そもそも、40分ほどしか時間がなかったので正解でした。
武家屋敷群の雪景色は素晴らしかった。高級武家屋敷前の道は確かに江戸時代では広かったと思います。また、庭に植えてある枝垂桜の枝が道路に垂れていま す。これは他市では道路交通法違反でしょう。桜の時期は物凄い人が出るのでしょうね。ガイドさんお勧めの樺細工屋と生もろこし屋のお店に寄ってお土産を 買ったら、時間的に「醤油屋」の安藤醸造所には行けませんでした。(秋田空港の売店には「しろだし」はありました。)


角館から4回目の国道105号線で秋田空港です。
遅れましたが最後に観光バスの紹介です。秋田北部を主体に運行していると言う意味の秋北(しゅうほく)バスです。このバスのカラーリングは小佐野賢治(古 いね)の国際興業と同じです。系列会社のようです。運転手さんは佐藤昭さん。若くて雪道の走行が安定していました。顔が小さく格好もよかった。
ガイドさんは立田正子さん。ベテランで何でも知っていました。年は我々と同年代かと思われるので嘱託で働いているのでしょう。この方の民話が絶品でした。名人マタギとマタギ犬「シロ」の話は悲しかった。お世話になりました。ありがとうございます。


秋田空港はよく見たら国際空港でした。韓国便がありました。
荷物検査場が小さいので早めに搭乗待合室に入りました。ここで新たな発見。売店に缶ビールがありません。奥にバーカウンターが見えたのでここでビールは飲めたのでしょう。皆さん気をつけてください。普通、身体検査するときは恥ずかしいから缶ビールを持ち込みませんよね。
飛行機は定刻通りに羽田に着きました。
打ち上げ場所を浜松町、品川、新橋等真剣に議論しましたが、結局、空港ビルの「ライオン」にしました。セミ個室を用意していただき大満足の打ち上げ飲み会になりました。


お疲れ様でした。

写真はここにも。

居酒屋トップページ
JA1PYPのトップページ